先史時代

人類の進化

人類が文字を発明し、歴史に記録を残すようになるまでの時代を先史時代という。約700万年前アフリカに出現した猿人(アウストラロピテクスなど)が人類の起源とされる。猿人は直立二足歩行を特徴とし、礫石器などの打製石器を用いた。

240万年前、アフリカにホモ=ハビリスやホモ=エレクトゥス(ジャワ原人北京原人など)に代表される原人が出現し、ヨーロッパやアジアにまで分布を広げた。ホモ=エレクトゥスハンドアックスなどの改良された打製石器や火、言語などを使用した。

60万年前になるとドイツで発見されたネアンデルタール人に代表される旧人が出現した。旧人は剥片石器を用い、埋葬の風習を始めた。

20万年前、アフリカに現生人類(ホモ=サピエンス)に属する新人が出現した。中国の周口店上洞人やフランスのクロマニョン人に代表され、骨角器を用い、フランスのラスコーやスペインのアルタミラなどに洞穴絵画を残した。

農耕・牧畜の開始

約1万年前に氷河期が終わり、気候が温暖になると人類は農耕・牧畜を始めた。石斧や石臼などの磨製石器を用いるようになり、これにより人類史は以前までの旧石器時代から新石器時代へと移行した。

人類が農耕・牧畜を始めた結果、狩猟を中心とする獲得経済から生産経済へ移行し、人口が飛躍的に増大した。前3500年ごろにはメソポタミアで水を人工的に供給する灌漑農業が始まった。この結果多くの人が定住し、都市国家が生まれた。武器や工具などの金属器がつくられ、政治を記録するために文字が発明された。ここから人類史は歴史時代へと入っていく。