関係代名詞の用法

関係代名詞の基本用法

関係詞を含む文の構造

関係詞は文中で接続詞として働くため、2つの文を繋げる役割を持つ。例えば、this is the book which I bought yesterday. という文は、

  1. this is the book.
  2. I bought it yesterday.

の2文に分けられる。2文に共通する語のことを先行詞といい、上記の例文では the book が先行詞に相当する(2. 文の it は the book を指す)。関係詞は 2. 文の先行詞が変化したものであり、1. 文の先行詞を修飾する(先行詞にくっつく)ことで上記の例文が完成する。

関係代名詞who,which,that

関係代名詞の種類は先行詞の意味によって使い分けられる。先行詞が〈人〉の場合は who、〈人以外〉の場合は which が用いられる。また、関係代名詞 who,which は関係詞節中の格によって語形変化する。ただし、〈人〉を先行詞にとる関係代名詞の目的格である whom は who で代用されることがある。

who,which は that で代用することができる。特に、先行詞に人と人以外の両方が含まれる場合や、先行詞が最上級の形容詞の場合は that が好んで用いられる。ただし、関係詞が所有格(whose)の場合は that で代用することはできない。

関係代名詞 who,which,that は先行詞となる名詞を修飾する、すなわち形容詞節をつくり、後ろに不完全文が続く。関係詞節中の主語が欠けている場合は主格、目的語が欠けている場合は目的格の関係代名詞が用いられる。

関係代名詞 who,which の曲用表

主格所有格目的格
whowhosewhom
whichwhosewhich

関係代名詞what

関係代名詞 what は名詞節をつくり、後ろに不完全文を伴う。what は先行詞を必要とせず、主節の主語や補語、目的語になる。例えば、This is the thing which I want. という文は、This is what I want. という文に書き換えることができる(the thing which = what)。このとき、what の導く関係詞節は名詞節であり、主節の文の補語として働いている。

関係代名詞の応用用法

関係代名詞の継続用法

上で述べたような、関係詞節が先行詞の意味を限定するような用法のことを限定用法あるいは制限用法という。一方、関係詞節が先行詞の意味を特に限定せず、先行詞の意味を補足的に説明する用法のことを継続用法あるいは非制限用法という(継続用法の用例は関係詞の種類を参照)。継続用法では関係詞の前にカンマ(,)が置かれる。先行詞が固有名詞の場合や限定詞によって完全に特定されている場合、継続用法のみが用いられる。また、関係代名詞 that は継続用法で用いることができない。

前置詞と関係代名詞

This is the city which I was born in. という文のように、前置詞の目的語が関係代名詞になる場合がある。その場合、前置詞を関係代名詞の直前に置くことができる。このとき、関係詞節は完全文となる。ただし、that は前置詞の直後に置くことができない。また、〈前置詞+関係代名詞〉は関係副詞一語で置き換えられる場合がある。

  • This is the city which I was born in.
  • This is the city in which I was born.
  • This is the city where I was born.

上記の3文はいずれも同じ意味を表す。

連鎖関係代名詞

He is a man who I think is honest. という文のように、関係詞節内の that 節にある語が関係詞になる場合、その語のことを連鎖関係代名詞という。上記の文は、

  1. He is a man.
  2. I think (that) he is honest.

の2文に分けられる。先行詞は a man であり、2. 文中の he が共通語となる。この he が関係代名詞 who に変化し、先行詞の直後に移動することで上記の文が成り立っている。

その他の関係代名詞

複合関係代名詞

関係代名詞に -ever がついた語のことを複合関係代名詞という。複合関係代名詞 whoever,whichever,whatever は名詞節もしくは副詞節を作り、名詞節ではそれぞれ「~する人は誰でも」「~するものはどれでも」「~するものは何でも」という意味を、副詞節ではそれぞれ「たとえ誰であっても」「たとえどれであっても」「たとえ何であっても」という意味を表す。

whoever は目的格で用いられる場合、whomever の形になる場合がある。ただし、口語では専ら whoever が用いられる。

複合関係代名詞は(what と同様)先行詞の意味を含んでいるため、先行詞を必要としない。よって、複合関係代名詞一語を〈先行詞+関係代名詞〉で換言することができる。

複合関係代名詞の同意表現

複合関係代名詞名詞節副詞節
whoeveranyone (who)no matter who
whicheverany one (that)no matter which
whateveranything (that)no matter what

疑似関係代名詞

本来接続詞である語が関係詞として働く場合があり、その語のことを疑似関係代名詞という。疑似関係代名詞には as,than,but などが挙げられる。

疑似関係代名詞 as は the same や such,so を含む語句、または節全体を先行詞にとる。節を先行詞にとる場合、関係代名詞節が先行詞となる節の前に置かれることがある。

比較級の構文において、than 以下の節の主語や目的語が欠けている場合、than が関係詞として働いているとみなすことができる。

主節が否定文の場合、but を関係代名詞として用いることがある。このとき、関係詞節は否定の意味を表し、二重否定の文となる。つまり、疑似関係代名詞 but は〈関係代名詞+not〉で換言することができる。