細胞の発見
1665年、イギリスの物理学者であるロバート・フックが世界で初めて顕微鏡を用いて細胞の観察を行った。彼が自作の顕微鏡で観察したものは厳密には細胞ではなく死んだコルクの細胞壁であったが、これによって細胞(cell)という概念が知られることとなった。
1838年、シュライデン(独)は植物のからだは細胞でできていると主張した。次いで1839年、シュワン(独)は動物のからだも細胞でできていると主張し、「すべての生命の最小単位は細胞である。」という細胞説を提唱した。さらに、1855年にはフィルヒョー(独)が「すべての細胞は細胞から生じる」と主張した。
顕微鏡
顕微鏡の発達
1932年、ルスカ(独)が電子線を用いた電子顕微鏡を発明した。可視光を用いた光学顕微鏡の分解能は約0.2μm であり、細胞内の微小な構造体やウイルスなどを観察することができない。一方、現代の電子顕微鏡は約0.1nm まで見分けることができる。因みに、肉眼の分解能は約0.1mmである。
電子顕微鏡には、薄い試料を透過してくる電子線を観察する透過型電子顕微鏡と、試料の表面に電子線を当てて立体像を映しだす走査型電子顕微鏡がある。
note
大きさの単位
1mm=1×103μm=1×106nm
ex.
細胞等の大きさ
・肉眼で見える…ニワトリの卵黄>ゾウリムシ>ヒトの卵
・光学顕微鏡…ヒトの精子>ヒトの赤血球>葉緑体>ミトコンドリア
・電子顕微鏡…バクテリオファージ>日本脳炎ウイルス>原子
顕微鏡の操作
以下に一般的な光学顕微鏡の操作手順を記す。
- 顕微鏡を直射日光のあたらない水平な所に置く。
- 接眼レンズ、対物レンズを取り付ける。鏡筒にほこりなどが入らないよう、接眼レンズから先に取り付ける。
- レボルバーを回して最低倍率にし、接眼レンズをのぞきながら反射鏡を動かして視野を明るくする。
- プレパラートをステージに乗せ、クリップで止める。
- 横から見ながら調節ねじ(粗動ねじと微動ねじ)を回して対物レンズとプレパラートを近づける。
- 接眼レンズをのぞきながら調節ねじを回して、対物レンズとプレパラートを遠ざけながらピントを合わせる。
ミクロメーターによる測定
ミクロメーターによる測定手順
- 接眼レンズの上方のレンズを取り外し、接眼ミクロメーターを目盛り面を下向きにして中に入れる。
- 対物ミクロメーターをステージに乗せる。
- 接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターの目盛りが重なるよう調整する。
- 接眼ミクロメーター1目盛りが対物ミクロメーター何目盛りに相当するか計算する。
対物ミクロメーター1目盛りの長さは10µmである。レンズを通して見たときの接眼ミクロメーター1目盛りの長さは、$$\frac{対物ミクロメーターの目盛り数}{接眼ミクロメーターの目盛り数}\times10µm$$ で計算することができる。