特定のものを指さず、漠然と不定の人やものを表す語を不定代名詞という。不定代名詞の多くは名詞の前に置いて形容詞としても用いられる。
one,none
代名詞としての one は総称用法のほか前出の可算名詞の代用として用いられる。直前に修飾語句を伴わない場合、one は〈不定冠詞+名詞〉の意味を表す。形容詞を伴う場合はその前に不定冠詞や数詞を付ける(例:a new one,two red ones)。なお、形容詞を伴わずに複数を表す場合は some を用いる。
one は不特定のものを代用する場合に用いられ、it は特定のものを代用する場合に用いられる。すなわち、one は〈不定冠詞+名詞〉、it は〈定冠詞+名詞〉に相当する。ただし the one[ones] の後ろに修飾語句を付けて特定のものを表す用法がある。これは人称代名詞に修飾語がつけられないためである。また、代用している対象が人でない場合、the one[ones] をthat[those]と換言することができる。
one を時を表す名詞の前に置いた場合、「ある~」という意味を表す(例:one day)。
none は「どれ[誰]も~ない」を意味し、しばしば〈none of +名詞〉の形で用いられる。名詞が複数の場合は単数複数どちらの扱いもできるが(単数として扱う方がよりフォーマル)、名詞が不可算の場合は単数扱いする。
some,any
some や any は「いくつか」「なに[誰]か」といった意味を表し、代名詞、形容詞として用いられる。一般に some は肯定文、any は否定文と疑問文で用いられるが、例外も数多くある。
肯定文の場合、some は「いくつか」「なに[誰]か」、any は「いくつでも」「どれ[誰]でも」という意味を表す。例えば肯定文において some student は複数いる生徒のうちの一部、any student は生徒全員を指す。
否定文の場合、some は「~でないものもある」という部分否定、any は「なに[誰]も~でない」という完全否定を表す。
疑問文の場合、普通は any を用いるが、肯定の答えを期待している場合は some を用いることがある。
その他、条件節では普通 any を用いる(確度が高い場合は some を用いる場合もある)。
other,another
another は「他の一つ[一人]」を意味し、あるグループの中で他にいくつかあるうちの一つを漠然と指す(an+other)。他の複数のものを漠然と指す場合は others を用いる。
the other で「残りの一つ」を意味し、残りが一つしかなく、特定できる場合に用いる。残りが複数あり、「残りのすべて」を表す場合は the others となる。
all,each,(every)
all は3つ[人]以上のものや人に対してそれら「すべて」を指す。代名詞として、通常人を指す場合は複数、ものを指す場合は単数扱いする。形容詞として用いる場合、しばしば限定詞の前に置いて複数名詞を修飾する。
each は2つ[人]以上、every は3つ[人]以上のことについてそれぞれ「おのおの」「すべて」という意味を表し、どちらも形容詞として単数名詞の前に置く。なお、every には代名詞としての用法は無い。
both,either,neither
both は2つのものや人について「両方とも」という意味を表す。否定語を伴うことで「両方とも~とは限らない」という部分否定を表す。
either は2つのうち「どちらか」を指し、neither は「どちらも~ない」という完全否定を表す(=not either)。また、either は副詞として否定文で用いられ、肯定文における too のような意味を表す。